ノケモノたちの夜 フレイムナイト 第7夜感想
この回の感想はそのほとんどがデモリリスについて語ることになりそうです。
切り離せない苦しみ
十三災の災能はその死因に由来します。飢餓の悪魔であるデモリリスの死因は当然餓死、彼女の口からその時のことが語られましたが壮絶でしたね。閉じ込められ、いつ来るかわからない助けを待って、壁を伝う僅かな雨水で命を繋ぐ。想像したくないです。
さて、デモリリスはそんな過去を忘れないつもりでいます。
つらい過去であるにも関わらず、ずっと抱えて生きて行くつもりのようです。
苦しみを忘れてしまったら、あのときの自分を裏切るよう。
それがデモリリスの思いのようです。
そしてこれこそが、彼女が幸せになることを恐れている理由とも言えるでしょう。
幸せになることが過去の苦しんだ自分に対する裏切りじゃないかと思うわけですね。
デモリリスは過去の自分を裏切ることで自身の存在が揺らぐことを恐れているような感じに思うんですよね。過去の自分から連続する部分に今の自分があるため、過去の自分を切り捨てることは自身の存在価値が揺らぐのでは?と感じているのではないでしょうか。
結局根本は『今の自分の存在を肯定したい』ということで、そのために過去も否定しない。過去つまり苦しんだ自分を否定しないために、幸せになってはいけない。そんな感じじゃないかなって思います。
そう読んだとすると、非常に人間らしい苦しみ方だなと思います。
自分の存在意義や価値に悩む、誰しもが経験することでしょうから。
感じてしまった
オフェーリアの後ろに見えた、おびただしい数の面影。それはデモリリスのせいで苦しみ続けた一族の人々。もし一族が苦しんだのがデモリリスのせいであるとわかったら、オフェーリアはどう思うでしょうか?少なくともいい気分ではないでしょう。
後ろめたさ。
オフェーリアの一族を苦しめておきながら、彼女に好意を持たれることに対して。
デモリリスは『後から来たのは人間ども、厚かましい』と、一族を苦しめたことに対して『だから苦しんで当然』とでも言いたげで自身の行いを正当化しようと見受けられるのですが、そうでもしないとオフェーリアに対してのうしろめたさから逃げられなかったのではないでしょうか。
そして後ろめたさを感じるのは、オフェーリアに対して少なからず想いを抱いているから。そのことは後ほど、オフェーリアに友達と言われたことに嬉しさを感じたことからも明らかです。
格下に見ていた人間に、一方的に対価をもらい、一方的に想いをもらい、
それに対して幸せを感じてしまった。
大悪魔としての格も、
デモリリスという一個人の尊厳も、
ずたずたにされているんです。
だからデモリリスは憤り、オフェーリアに襲いかかったわけですね。
敗北後、彼女は村の始末をゼファールにさせたわけですが。
デモリリス自身が手を下せば、それは自分の感情を否定したいという行動の表れで、逆説的に自身の想いの存在も肯定してしまうんです。
ゼファールが手を下したなら、それは事故。
オフェーリアたちが死んだのは自身の想いの否定のためではなく、事故。
そういう体にするために依頼したんかなって思います。
あとは自分の力を使うと自分と同じ死に様にしてしまうので、それを嫌ったのかもしれませんね。もし仮にオフェーリアが過去の自分と同じように苦しんだ際にも気高いままだと、それはそれでデモリリスという個人がずたずたにされますから。
…いや、めんどくさ!!!!
でもあんな死に方したらこうなっちゃうのも仕方ないのかなって思ってしまいます。
おわりに
精一杯向き合いましたが、非常に難しい。無理に複雑に捉えているような感じもしますし、事実デモリリスに絡まっているものは非常に複雑なのかもしれません。
一つだけ確かなことはこのデモリリスという女は非常にめんどくさいということです。
さて、同格の悪魔がぶつかれば契約者がいるほうが勝つという原則のようなものがあります。それに則ればマルバス対デモリリスの勝敗は明らかです。物語的にもマルバスが負けるはずもないし。
一体どんな結末を迎えるのか?てかウィステリアとスノウはここに来て大丈夫なのか?など疑問はつきませんが、まあ残りの展開を楽しむだけです。