デリシャスパーティプリキュア33話感想
清くあろうとする子に芽生えたもの。
そして向き合い方の葛藤が描かれたお話。
清き心に芽生えしは
冒頭、ナルシストルーの様子を報告するローズマリー。
彼の事情で『ごはんは笑顔ではない人もいる』ということを作中で示し、ゆいがその事実を飲み込むのが良いですね。これは果たして終盤でどうなるのか、注目です。
…まあそんな事情はあれど。だからといって彼のやったことが許されるわけではないです。彼の行いによってあまねは精神操作下にあったとはいえその手を汚してしまいました。その後も煽る煽る。彼に対して負の感情が芽生えてもやむなしでしょう。
…というより、むしろ出てくるのが自然なんです。それで負の感情が出てこないなら本物の聖人か聖母か神かなにかです。盛り過ぎか?要は人として出来すぎてるって話。
ただ、清くあろうとする人にとってはその負の感情すらなんとか消そうとするんですよね。これはいけないものだ、こんな感情持っちゃいけないってなっちゃう。
生まれてしまった感情と、どう向き合うべきか?
今回はあまねの成長話です。
受容
最初、あまねはそれでも清くあろうとしました。
高潔なる心の理想形が白一色だとして、生まれた負の感情が黒だとするならば。あまねはその黒を必死で消そうとしていたように思います。ごはんは笑顔、ポジティブな感情で負の感情を打ち消そうとしたり。天使の衣装を選ぶことで白一色であろうとしたり。
清くあろうとするその行動が無理してるようにしか見えなくて、とても見てられませんでした。必死さが痛ましかった。そしてその感情に振り回される彼女の精神状態は、パフェのレシピッピの声が煩わしく感じてしまうほどに荒れていました。本当、心配になる。
感情が生まれた時点で感情は存在してるので、その存在そのものをなくそうとするのは無理なんですよね。思っちゃった時点でどうしようもなく、また感情が生まれることは自身ではどうしようもありません。例えば悲しいといった感情が生まれてから対処することはできますが『これから悲しいという感情が生まれる』なんてことは予期しようがありません。
つまるところ、清くあろうとするがために負の感情を持たないように!なんていうのは不可能なんです。不可能なんですが、清くあろうとする人はこんな感情持っちゃいけない生まれちゃいけないって考える。そして負の感情を持ったことを深く悩む。生まれるのも持つのもどうしようもないことなのに。
だからこそ。
許せないことがあるのは自然なこと。
だけど、その感情に流されないことは大事。
ローズマリーのアドバイスは申し分ない100点の答えで、あまねに必要なものが全部詰まっていると思います。
負の感情の受容と、生まれた感情への対処。
どちらもあまねに必要なことでしたからね。
おわりに
最後にあまねが笑顔になって、本当に良かった。
今回のお話、真面目な子や優しい子にとって必要なことだったんじゃないかなって思います。
これから先の人生で優しいままでいられないことがあるかもしれない。許せないことが起こるときもあるかもしれない。
そんなときに無用に苦しまなくてすむように、感情との向き合い方を知っておく必要がある。
プリキュアはいつも大事なことを伝えてくれます。
子供だけでなく、大人にもなにか伝わるものがあるお話だったんじゃないかなと思います。