ノケモノたちの夜 第24夜感想
物語上でも顔を見せてきた、貴族の誇り。
この長編の肝の部分です。
交渉戦
話し合いを持ちかけてきた団長、大悪魔2体との戦いになった瞬間の方針転換は非常に柔軟。んでこの言い方がめちゃくちゃ頭いいんですよね。
いくら悪魔が見えるからといってダイアナが矢面に出てくるのは奇妙なんですよ。だから多分『当主となる男子がいない』と予測を立てた上で、でもそうは言わず『当主と話がしたい、と当主に伝えてもらえるか?』と真っ当な提案をしつつダイアナ側の痛いところをついているんですよね。
ダイアナ側としても、ブラックベル家の全権を握る当主と話がしたいという至極真っ当な要求を跳ね除けることは難しく、結果戦闘ではなく団長の目論見通り会談になるわけです。
いやー、頭も切れるとかコイツマジ手強いですね。
そしてこういう会話劇が描けるのがとてもよいです。
何のために
貴族というのは男子しか爵位を継げない。
であれば、既にダイアナしかいないブラックベル家は跡取りがいないという状態です。剣十字騎士団との戦いに勝ったとしても、ブラックベル家が終わることは避けられない。結末は変わらないにも関わらずなぜ戦うのか?マルバスが疑問を抱くのも当然です。
それに対しての返答がめちゃくちゃかっこよかった。
無論。誇りのため。
貴族として、ブラックベル家及びブラックベル家に属する自身の兄たちを不名誉なまま家を終わらせたくない。それはまさに貴族の誇りのために戦うということに他なりません。
別にそれでご飯が食べられるわけでも、生きられるわけでもない。
それでも取り戻そうとするところに気高さを感じますし、家や兄たちのためってところに優しさや愛を感じますし、無論と言い切れるところにカッコよさを感じます。
ダイアナの心がこのエピソードの面白さの肝ですね。
…それにしても、家壊したことを盾にマルバスに協力させるダイアナちゃんが賢くて可愛くて大好きです。帽子スチャってしていざ会談へ!ってなるのも可愛いです。
おわりに
会談で誤魔化すための準備中のやり取りだったり、隊長のコンプレックスを聞こえること構わず話すルシアとビビアンだったり、ところどころコメディっぽい面白さもあったり。
一方でスノウにくだされた汚れ仕事の任務。
団長ってやつは手段を選ばないタイプのようですね。
会談、はたして無事にすむのでしょうか。