トロピカルージュプリキュア14話感想
優しさに溢れた14話。
本気と優しさ
園児相手でも手を抜かず全力疾走のまなつに対し、園児に勝たせるさんご。まなつはさんごの行動を優しいと評していましたが、さんごはまなつのような対応が嬉しい子もいると発言。実際これはそのとおりで、手を抜かれるとイヤに感じる子もいると思います。どちらが手段としていいという話ではなく、本当に『受け手による』と思うんですよね。
相手によらず常に本気でぶつかるのも良し。ある意味相手をリスペクトしていて、園児だから子供だからと舐め腐って対応してないことの表れです。そもそもまなつが園児みたいなものだから子供同士が遊んでるだけ?言ってあげるな。
相手を勝たせるためにうまくやるのも良し。本気でやったら中学生が勝つのは当たり前ですから、負ける悔しさではなく、勝つ喜びを味あわせてあげたいのも優しさでしょう。さんごが本気出しても園児に勝てるとは限らない?そうかもしれん。
どちらの対応も良しとする話の作りになってるのが凄くいいなと感じました。
それが望む在り方ならば
どちらの対応も良しとする。
同じようにどのような在り方でも良しとする。
わたるくんへのさんごの対応はそれが表れていたように思います。独りで図鑑を読んでいる彼に対して『ひとりでも平気?』と、凄く優しい口調で語りかけていたんですよね。この言葉がけの意図は『ひとりでいる状態は本人の望むものか』ということ。もし本当は独りが寂しくて、でもきっかけが掴めなくて図鑑を見るしかない状態なら手を差し伸べてあげたいでしょうし。
ここで『ひとりは寂しくない?』と聞かないところがわたるくんの在り方を否定していない聞き方だなって思います。はい、これがさんごの優しさ。
るりちゃんの昆虫好きにも気づいたし、さんごの観察眼が光りますね。
で、今回のお話って凄く優しいというか。人の好み、行動に対して凄く優しさが溢れていたなーって思うんです。その在り方を否定しない。だからこそ感想においても非常に表現が難しかったりするので気を使うんですけども。
わたるくんが『お友達と遊びなさいって言わないの?』とローラに聞いていたことから、彼が独りでいる状態に対して『友達と遊ぶこと』を促す他者がいたんですよね。でもさんごやローラはそんな言い方はせず、ローラに至ってはわたるくんの在り方を『見どころがある』と評しています。
・戦いごっこなどの誰かとする遊びより、図鑑で虫を学ぶほうが好きな男の子
・同じく虫が好きな女の子
・お兄さんのおさがりで遊んでいたため、お人形遊びがわからない女の子
・くさいと学んだものを実際に嗅ぎにいくという行動
少数派だろう好みや行動、個人の性質を肯定する。
それがこのお話だったんじゃないかなと思います。
世界が重なるとき
それぞれの在り方を否定しない一方で、その在り方を変えることで楽しいこともあるよと示している気がします。正確に言うと、自分の領域から一歩外に出てみると同じように『自分の好きなもの』を好きな人がいるかもしれないよという話ですね。
わたるくんとるりちゃん、二人とも虫が好き。でも今回の一件がなければ、お互いにそのことを知らないままだったんじゃないかなって思うんです。わたるくんは一人で図鑑を読んでいるし、るりちゃんは一人で虫の絵を描いている。一人でいる二人の世界が交わることはなかなかないでしょう。
そんな二人の世界が危機的状況下で重なり好きなものを共有できたことで、わたるくんは『友達もいい』という新たな価値観を得たんですよね。そりゃ誰かと好きなものを共有できたら楽しいですよ。私もプリキュアとかノケモノとかシャニマスの話ずっとしたいし。今まではそれができる子が彼の世界にいなかっただけですからね。
個人の在り方の肯定、在り方の変化の良さ。
非常に深い話でしたね。
…ローラの世界と人間の世界はいつ重なるんだろう。それも思っちゃう。
おわりに
どのような在り方も肯定する、そんな優しいハートに満ちた回でした。
入れ替わり回、擬似的にローラが変身するのか!?
あすか、さんごと来てみのり回。これはまなつ回で何かが起こる!?
楽しみは尽きません。