ノケモノたちの夜 第61夜感想
61話も爆裂に面白かったですね。
特にシトリ、アスタロト、ダイアナの描写が見事というほかない。
出ているシーンが僅か数コマにも関わらず、きっちりキャラが立っていました。
無論、ダンタリオンとルーサーも良かった。
まあ前置きはこのへんにして、さっさと行きますか。
ノケモノたち
アスタロトと団長の契約はダイアナと彼女を攻撃から守護した悪魔の契約が近しい感じでしょうか。恐らくアスタロトは普段鳥籠の中で捕らえられていて、有事の際に対価を払い協力させるといった感じですかね。
さて、そんなアスタロトとシトリ。
悪魔と契約者たちの闘いが激化する一方で、ダンタリオンの姿に嫌気がさし協力をやめるシトリ。そしてシトリが協力をやめたことで、闘う必要がなくなったアスタロト。二人は『契約者に入れ込む悪魔』という構図を非常に毛嫌いしているのですよね。
アスタロトはブラックベル家編の時点で、人間のガキに入れ込むマルバスとナベリウスをキモいと言っていましたし。シトリは最初契約者との関係に興味を持っていたのでウィスに質問してたりしましたが、この前ボロッカスにやられたせいで完全に拗らせてるようですね。
まあというより…シトリの場合は長く眠っていたが故に他の十三災に比べて経験つまり記憶量が少なく、それ故に限定解臨を使える『盟主』を強く覚えているのですよね。そして盟主への思い入れが強いからこそ、盟主のみが使えるはずだった限定解臨をウィスが使えるのが気に食わない。
盟主には唯一十三災を限定解臨できる無二の存在であってほしいわけです。
こう書くと、シトリマジめんどくさいな…とか思ってしまうわけですが。完全に拗らせちゃってますよね。
ただ、アスタロトとシトリが見解の一致を起こしているのはどこか奇妙で面白く思います。
人間の見方という点で見ても。
マルバス、ナベリウス、ダンタリオンと契約者に入れ込む3人。
アスタロト、シトリと契約者つまり人間などクソと思う2人。
対比の構図ができていて面白いですよね。
それにしても…『好きにしてみようかな』と言い放つシトリの顔がとても怪しい表情してますよね。邪念でしょうか、笑顔のようにも見えるのですが負の感情が見える怪しい顔。とても唆られます。
僅か2ページでシトリとアスタロトの人間への感情が垣間見えてよかったです。
描写が巧すぎる。
貴族の誇り
ダイアナも少ない出番ながら抜群の存在感を示していました。
団長には狙撃されて瀕死にされてますし、なによりも家の歴史そのものといえるブラックベル家邸を焼かれている。報復というべきですか、とかく団長にやり返したい気持ちがあってもおかしくない。
ナベリウスも同様です。というか、彼のほうがより顕著に出ていますよね。
ダイアナに対しての団長の仕打ちに対して、やり返したくて仕方がない。
そんな感情を胸に抱きながらも。
仇敵とも言える相手が目の前にいて、
強大な敵を前にボロボロにやられている、
絶好の機会でありながらも。
ダイアナはやり返さなかった。
例え憎き相手だとしても、今の団長は人を守るために戦っています。
そんな行動に出ている彼のスキをつくような形で報復に出たとして。
その結果、彼が守ろうとしている人々に危害が加わったとして。
それは果たして貴族として胸をはれる行動だろうか?ということなんですよね。
無論、彼女の中に感情がないわけではない。完全に割り切れているわけではない。
彼女のうちにあった激情は、固く握った拳に表れています。
感情を抑えようと必死なんですよね。手を出せないもどかしさが拳を固く握らせている。
それでも。激情が漏れ出し、拳に表れても。
貴族の誇りを優先し、手を出さない。
それがダイアナ。ブラックベル家編で『誇り』のために戦い続けた彼女なんです。
人物の芯の一貫性が素晴らしいですよね。
本当に誇り高き少女だと思います。大好き。
あと、ダイアナの命であっさり団長への攻撃意志を取りやめたナベリウスも大好きです。そりゃ契約内容が『命に従え』となってますから従うしかないんですけど、彼はきっともうそんなこと関係なく言うことを聞きますよ。
ホント忠犬なんだから…。ダイアナとナベリウス、ホント好きなんですよね。
ところで限定解臨まだですか。
勝因は相手の絆
限定解臨したダンタリオンへの勝ち方も秀逸でした。私はダイアナとナベリウスの限定解臨で真正面からぶつかり合うものだとばかり思っていましたが、正直それが見たすぎてちょっと思考や予測が偏っていたなーと反省してます。てかよく考えたらこれ騎士団側が襲撃したパターンですから、決着は本部襲撃時というのは展開として全然ありえましたね。
如何にルーサーが痛みに強くてタフでも、如何にダンタリオンの士気操作で能力が向上していようとも。所詮は人間です。その体力は無尽蔵ではないですし限界はあります。ルーサーの精神力にルーサーの体が追いつかないんですよね。てか彼、限定解臨の前に腹部からだいぶ出血してましたからね。おかしいよ…。
そんな状態の彼がいつまでも限定解臨を継続できるはずがない。
そして限定解臨に至ったということは2人の間には絆が存在しているということ。命の限界を超えて限定解臨を維持しようとするルーサーを、ダンタリオンがそのままにしておくはずがないんです。死にますからね、ルーサー。
限定解臨に至った2人の絆が勝利よりも命を取ったんですよね。
この展開自体もとても素晴らしいのですが、何よりもこれに気づいたマルバスが良いです。
彼、55話で2人の間にも自分とウィステリアの絆と同じものがあると気づいたわけで。今回の策もそれがあったからこそ思いつけたのですよね。
55話では相手の絆に負けました。
61話では相手の絆で勝てました。
いや…やばくないですかこの展開。
エピソードの積み重ねがちゃんと生きてる。ロンドン対魔戦線編、長編としての完成度が上がってきます。まだ中盤の終盤ぐらいな感じなのにこれはヤバいですよ。終盤にはどうなってしまうんだ。
ところでバトルパート。マルバスと団長の掛け合いのシーン、二人ともイケメンすぎて絵面がやばかったですね。とにかく顔がいい。
団長
今回の話ではダイアナとナベリウスに情けをかけられ見逃された形になり、マルバスが利用した相手の絆を見抜けず、随分と差をつけられてしまった団長。
ただまあ致し方ないのかなと思います。絆の有無、そして絆があるが故の行動。これまで彼が見てきた悪魔と契約者の間にはなかったものでしょうから。マルバスやナベリウスたちのほうが例外なんですよね。
自分が絆に気づけなかったせいでと自責の念が生じたように思います。先の差も含め、明確に『敗北』が彼にのしかかってきてる気がします。失敗、負の経験にあたるものですよね。
今回の一件が限定解臨には勝てない彼が今以上により強くなるための価値あるピースの一つになるんじゃないでしょうか。主人公も敵役も等しく扱う、描写が平等な素晴らしい作品だと思いますのでね。
ところで…。鎧を外して暫く経つ彼の体にはなにやら黒いモヤのようなものが描写されていますね。契約によって得た彼の体は鎧を装着していないと何かしらの異常が発生するっぽいです。これがデメリットかな。
おわりに
騎士団本部で決戦になるでしょうが、気になることは満載。
タケナミやスノウはどうなっているのか?
ダンタリオンの持つ三ツ目の情報。
三ツ目に先を越される前に、という発言の真意。
そして『好きにしてみようかな』と言ったシトリの今後の動き。
あとダイアナとナベリウスの限定解臨。
この章の決着がどうなるのかも含め楽しみだらけ。
そんな中ですが次回は休載。とにかくしっかり休んでいただきたいですね。
せっかくなので、ロンドン対魔戦線編の今後の予測でも記事にしようかなと思います。