べぎログ-べぎの感想・考察-

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主にプリキュアシリーズの感想と考察

ノケモノたちの夜 第64夜感想

合併号を挟んで2週間ぶりの最新話。読んだ感想を端的に述べると…

 

は??なにこれ面白すぎんか??

 

です。

 

そんなわけで本日も感想行きます。

 

 

 

 

激戦

 

まず戦闘が凄かった。

戦闘描写が格段に上手くなっていると思います。

 

63話の感想で私はオーガストが参戦するんじゃないかと予想していたんですが、それは戦力差もあったから。このままだとイベルタが辛いんじゃないかと思ったんですね。

 

ですが、イベルタの強さ戦闘描写の巧さ私の想像の遥か上を行っていました。

 

タケナミの刀にはたしかになんかよくわからないものがついていて不思議には思っていました。アレは刀ではなく肉体の一部であり、破壊力は魔力を集中したが故のもの。それを威力と斬れ味などから推察する洞察力がまず流石。

 

そしてその強力な部位を逆に弱点と捉え、自身の攻撃→アスタロトの連撃で『魔力が集中した部位』を切り離す。必然、大量の魔力を失ったことになります。修復に時間がかかるでしょうし、主力部位を失って戦力が低下したスキを見逃さずアスタロト悪魔のツノを切り落とす。ツノが悪魔にとって重要な部位であることは55話で示したとおり。

 

…いや、なんやこれ??

バトル巧すぎません??

 

 

この作品を読んでいて、一番バトルで震えた回でした。

魔力が集中した危険部位を連携で切り離し、そのスキに重要部位のツノを落とす。戦闘の流れが美しすぎました。

 

 

戦闘の組み立ても勿論なんですが、屋内空間におけるアスタロトの不利ダンタリオンが気づくという形で描写していたのも好印象。いくら飛べるとはいえ、そう広くない空間なので機動力を活かしきれない。そこにダンタリオンが気づいているという点で敵側の強さも示しているんですよね。

 

いやほんとびっくりしました。進化してるなあ…。

 

 

残したいもの

 

先週に引き続き、今週もイベルタの描写がとても素晴らしい。エモい。

 

ソル団長は特殊な身体を持ち、老いることがない。それはとても魅力的なことのように思いますが、仲間たちが先に死ぬのを常に見届ける立場でもあるということです。騎士団の仲間たちは普通の人間ですから。

 

そして、いずれ死ぬのはイベルタ自身も例外ではない。既に老いています。この戦いを乗り切ったとしても、数十年以内には彼女も寿命を迎えることになるでしょう。

 

ソル団長のことを昔から知っていて、彼の体のことも知っている、別格の副団長。単純な実力は勿論、信頼できる仲間として最も頼りになる存在であろう彼女。それでも不滅ではない。いずれその命には終わりが来ます。

 

自分には寿命という限界があるとわかっているからこそ、彼女は後進を育てることもしたわけです。自分が育てた団員たちには自身の想いが残り、たとえ自分が死んでも団員たちが自身の想いを繋いでくれる。

 

 

たった一人、ずっと生きていくソルのために。

 

自分の想いを繋いでくれる後進を育て、

今ここで大悪魔を倒し、

彼が背負っている戦いを少しでも軽くする。

 

もうなんていうか…カッコよすぎますよ婆さん。

その言葉に、その行動に、団長への想いが溢れている。

 

これが50年以上の永き時を共に過ごしたが故に生まれる絆なんでしょうね。

 

 

どうでもいいんですけど、見出しがサブタイトルと丸かぶりしてしまいましたね。

でもこれしかないわ。この話のイベルタを見たらこれしかつけようがない。

 

素晴らしいサブタイトルでした。

 

頂点と底辺

 

50年以上陰から国を支えた自負のあるイベルタ。

ソル団長が正義を為すために戦っているように、彼女もまた正義を為すために戦ってきたのでしょう。

 

正義という大義を持ち、50年以上という長い間戦い続けてきた。

質も量も十二分、彼女の戦いの重みは誰もが認めるところです。

 

イベルタはとても立派なのでしょう。

 

 

…しかし、ルーサーはそうではない。

 

敵を同じ人間だと思うなと叩き込まれ、敵を人間とも思わずに戦場で殺し続けてきた彼。兵役を志願した当初は『恵まれた体を持つ自分の力を活かして世のために』という大義があったのでしょうが、恐らくは戦場で軍人として戦う内に段々と擦り切れていったのでしょう。

 

かたや、正義のために悪魔を滅する戦士となり。

かたや、大義も失くしただ敵を殺す駒となる。

 

 

50年積み上げてきたイベルタの誇りを、たかが数年のルーサーの狂気が踏みにじる。

 

このあたり、本当に表現が見事すぎる。相変わらず台詞回しが秀逸です。

 

 

限定解臨、その先へ

 

そんな彼の狂気が開いたのが、ウィステリアとマルバスも行った追加解放。

 

魔獣形態、まずサイズが桁違い。そしてとてつもなく太い腕。どれだけの破壊力を秘めているのか想像に難くありません。

 

この追加解放に至るまでに、ルーサーは自身の命を使い切る覚悟でした。

先の戦いではルーサーを失いたくがない故に解臨を解除したダンタリオンですが、今回は自身の命を捨てるルーサーの発言を受けてなお解臨に至っています。

 

ルーサーは自身の命を賭けて、ダンタリオンが望む戦いをできるように限定解臨を促した。自身よりもダンタリオンのことを優先している。

 

ダンタリオンはルーサーを失いたくがない故に先の戦いでは限定解臨を解きました。ですが今回はその自身の想いよりも、命を賭けているルーサーの覚悟を優先している。そしてそれはルーサーの中で『ルーサーの命』よりも優先することがあるという本心を理解しているが故です。

 

ルーサーとダンタリオンは互いに相手を想い、更には理解し合う関係になったのです。

 

追加解放も納得というもの。それほどの信頼関係の強さだと思います。

 

 

そしてこれ、ウィステリアとマルバスも同じなんですよね。

 

ウィステリアを大事にしたいと思うマルバスが、自身のワガママのためにウィステリアに肉体的負担を強いた。そしてウィステリアも、肉体的負担があってもそれ以上にマルバスの願いを聞き届けたいと思ったから受け入れた。

 

こちらは『ワガママを言う』『ワガママを聞き入れる』という信頼関係の深化です。

 

違った形で絆を描く。うーん、エモい!語彙力の崩壊。

ちゃんと絆が描かれているからこそ、敵でありながらルーサーとダンタリオンも好きなんですよね

 

ノケモノ

 

作品タイトルにも使われているノケモノ、というワード。今回はルーサーの口から。

 

考えてみれば大悪魔の契約者ってみんなノケモノ、世界からはみ出したものたちだったりするんですよね。

 

奴隷のような扱いを受け、人扱いすらされていなかったウィステリア

家を粛清され家族を失い、今は世間的には死んだものとされているダイアナ。

戦場以外の記憶がなく、一般的な日常にも家族からも外れてしまったルーサー。

 

人間への影響力が衰え、見えない人間が多くなった大悪魔たる十三災たち

 

そして。

 

不死の体を持ち、人間の域を超えた存在であるソル・アダムズ

 

ノケモノたちは同じくノケモノである大悪魔と契約している。

そしてソル以外はいずれも限定解臨、絆なくしてありえない境地に至っている。

ダイアナとナベリウスのそれはまだちゃんとはなってないけども!!

 

ソル団長が人間の枠を超えたノケモノであることにも、きっと意味があるのだと思います。

 

 

おわりに

 

アスタロトのイベルタへの評価も良かったですね。好みは度外視して、イベルタの格の高さは評価している。そういうところ好きです。

 

そんな気高きイベルタと、彼女の格を認めるアスタロト

2人の即席コンビが、限定解臨に挑む。

 

どうなるのか、来週もとても楽しみです。