ノケモノたちの夜 第75夜感想
とりあえず確かなことは75話も面白かったなということです。
そんなこんなで感想です。
マルバスの変化
物語の初め、マルバスは退屈していました。
そんな彼がウィステリアと出会い、悪魔の大網に触れてまで一緒にいたいと思うようになりました。
そこからしばらく、ウィステリアはマルバスにとって唯一の大切な存在でした。
ブラックベル家編でダイアナとナベリウスに興味を引かれ、二人の戦いを見届けようと思うようになりました。その後は三ツ目の悪魔という共通の目的はあれど共に行動。ウィステリアと湖水地方でのんびりしているはずだという脳内イメージにはダイアナとナベリウスの姿もありました。ウィステリアしかいなかったマルバスの世界にダイアナとナベリウスが加わりました。
スノウは最初嫉妬の対象でした。自分にはない血のつながりというものをウィステリアとの間に持ち、ウィステリアが自分と同等に大切に思う人。ですが彼もまた『気にくわない』から『大切な人の大切な人』へと変わりました。ウィステリアの不利益になることをするはずがないと信頼もしています。まあどこか気にくわないのは残ってるんでしょうが。
シトリとの対話。モリーとハリエットを見て感じたことがマルバスの言葉を紡ぎ出しました。あの二人もまたマルバスに影響を与えています。
イベルタの魂を喰らった影響か、ソル団長への対応も変わったアスタロト。彼女は美術品への想いがありましたね。そのこだわりは並の人間以上かもしれません。ところで尻軽発言は…もしや人間時代のマルバスにアプローチしてました?一コマで想像を掻き立てられます。
ルーサーとダンタリオンの間にあるもの。敵でありながらマルバスはそれに気を取られ、角を折られるという失態をしてしまうほどでした。
ルーサーの記憶は戻ったようですね。元々、ダンタリオンが昂ぶる戦いをルーサーがすることを対価に記憶を戻すという契約。ルーサーが報酬はもういらないといっただけで契約自体は生きています。最期、命を燃やす闘いをして満足して逝ったのでしょう。ルーサーの記憶をすべて戻したことはその証の一つとも言えます。もう狂戦士はこの世にはいません。狂戦士の彼はある意味ダンタリオンだけのものになりましたね。なんか怖いな。
リバーサイドマーダー。ブラックベル家編。ロンドン対魔戦線編。
数々の絆。色んな出会い。
それらを経て、この世に退屈していたマルバスは…
他の十三災と話したい。
彼らが何を考えているのか、
どう暮らしてるのかを知りたい。
と、自ら求めて知りたいと思うほどに変わりました。
その変化がとても心を震わせるんです。物語初期から今に至るまでのマルバスの変化の大きさが、これまでの積み重ねが如何に大きかったかを示しています。一つ一つは小さなことだったかもしれませんが、小さなことが積み重なり少しずつ変わっていくことで大きな変化になるんですよね。
この物語は彼もまた主人公だなと、改めて思いました。
おわりに
惜しくもこの話は来週最終回。俺たちの旅はまだまだ続くエンドといったところでしょうか。名残惜しい。未解決の事柄はあります。三ツ目はもちろん、十三災はまだ半柱以上残ってますし、ナベリウスと私のダイアナの限定解臨も見れてません。
それでもここ最近で多くの謎を明かしてくれましたし、なによりも今話のマルバスが素晴らしかった。広げたお話をできる範囲で畳もうとする姿勢は素晴らしいと思います。
最後まで楽しみです。