Goプリンセスプリキュア50話感想-夢と絶望について-
この物語、終わらせようと思えば49話で終わらせることもできたと思います。
49話ですべての戦いが終わり、50話は完全なエピローグ。
そんな構成でも良かったと思うわけです。
でもそうじゃなかった。
いえ、きっとそれで終わらせることはできなかった。
そんな50話の感想です。
もう一つの締めくくり
何故49話で終わらせることもできたと思うのかというと、ディスピアとの戦いは49話で終わってるからですね。プリキュアたちはグランプリンセスとなり、ディスピアを倒したことでホープキングダムの人々を解放することもできるようになった。
物語当初に提示されていた目標はすべてクリアした。
そしてプリキュアとディスダークの戦いは49話で決着がついているわけです。
…ところがこの作品ではまだ一つ決着がついていないことがありました。
それは11話、クローズを倒したあとに見せたフローラの表情。
敵を倒したというのに、どこか浮かない表情をしています。
この回、クローズを倒したのは仕方ないと言えます。クローズはプリキュアを倒すために全力で向かってきていて対話の余地はなかった。敵と和解することも多かったプリキュアですが、そもそも話せないんじゃどうしようもありません。
仕方なかったと思いますが、フローラの中では『倒すしかなくわかりあうことができなかった』ことを悔いている。そんな表情に見えます。
絶望との対話、そして相互理解が叶わなかったこと。それは11話においてクローズと果たせず終わった事柄でした。なのでこれはいずれ回収されるだろうなと思っていました。もし回収されないなら、フローラがこんな表情をした意味がない。
49話でプリキュアとディスダークの戦いに決着がつきました。
50話におけるラストバトルは夢と絶望、この作品で常に対立してきた2つの概念の決着。Goプリンセスプリキュアを締めくくるにはこの2つの戦いに終止符を打つ必要があったと思います。
そして31話でクローズが復活したのであれば。
やはりこの戦いはフローラとクローズの戦いの果てに答えを出さないといけませんよね。
話さなきゃ、クローズと。
11話で果たせなかったことを果たすために、フローラが行くのです。
夢と絶望、決戦
そんな二人のバトルはクローズが押すんですよね。相手と話そうとするフローラと相手を完全に消し去ろうとするクローズ、どちらのほうが戦う気が強いかは明白です。どちらが完全に消滅するまで戦うしかない。クローズの考えはそんなところでしょうか。
でもフローラが出した答えは『絶望は消せない』ということでした。
フローラ、いえ春野はるかもいろんな苦労をしてきました。38話においては夢を肯定してくれた者から夢を否定されるという特大の絶望も味わいました。でも彼女の数々の経験は『夢を目指す過程』で生まれたものなんですよね。
夢がある限り、絶望は消えない。
クローズの言葉は真実です。はるかが50話にも及ぶこの物語の中で体験してきたこととも言えます。
嬉しいこと、悲しいこと、
全部ひっくるめて夢ってことなのかな。
はるかの結論は絶望の存在を受け入れ肯定したものです。これまでの物語の集大成とも言える結論であり、夢と絶望という相反する2つの存在の共存案を示しつつも納得の行く答えだったと思います。
このはるかの結論に対してクローズが『黙れ』と憤るのが非常に良かったと思います。クローズは『俺たちは戦い続ける運命なんだぜ』と語っており、どちらかが消え去るまで戦うつもりだったんですよね。
でも相手が自らの存在を認めてしまった。存在を争う戦いだったはずなのに、相手はその戦いからは降りてしまった。『ふざけるな』とも言ってましたが、その気持ちは非常によくわかります。
夢と絶望、決着
そのように憤っていたクローズでしたが、最後には戦いをやめてしまいます。
夢があるから。
絶望に負けちゃうこともあるけど何度でも前を向ける理由をはるかが語ろうとするところで、クローズがその理由を答えるんですよね。
元々、彼は夢の強さを認めている節はありました。正確には『フローラの強さ』といったところでしょうか。そうでないと47話において自らの絶対的主であるディスピアの策に対し『失敗か、だがこんな予感はしていた』なんて言わないと思うんですよ。あの瞬間においてはディスピアの策よりもフローラの強さが上だと思っていたことの証です。
はるかが『絶望は消せない』と理解したように、クローズもまた『夢は消せない』とわかったのだと思います。
前から思っていたのですが、この二人の図式は陰陽太極図みたいだなーと思うんです。
白色の中に黒、黒色の中に白がある陰陽太極図。どちらか一方のみということは存在せず、どちらの要素も共存しているということを表すんですね。
絶望の存在を認めたはるか。
夢の存在を認めたクローズ。
二人の関係はまさに陰陽太極図だなとか思いました。
まあとはいえクローズは少なくとも『フローラがいる限り、夢は消せない』という感じだと思います。『消えてやるよ、今はな』というのは未来において彼はまたやってくるということではないでしょうか。それこそ今のプリンセスプリキュアがいなくなったときに。
そのときもまた、新たなプリンセスが夢そのものとしてクローズと戦うのでしょうけどね。
おわりに
はるかの誕生日ということで、はるかとクローズに注目してみました。おかげで50話のAパートにしか触れてません。そのAパートにおいてもバトルの凄さとか触れていません。なんだこの50話感想記事、ほんまに50話感想か?ともいいたくなる。
ただGoプリンセスプリキュアの魅力はこの二人なくして語れないとも思うわけです。夢と絶望の戦いはこの二人がそれぞれ夢と絶望の代表として戦っていたと言っても過言ではないと思います。
素晴らしいお話でした。ありがとう!Goプリンセスプリキュア!