デリシャスパーティプリキュア44話感想
歩め、ゆい。自分自身の人生を、誰かを助けるためのその一歩を。
その想いの強さ故
いきなりなんですが、私はフェンネルが結構好きです。
彼がこのような行いに至った気持ちがわかってしまうからです。
怪物の姿になっても猫。その姿はまるでかつて猫の被り物をしていた師匠ジンジャーのよう。アジトや自身のホログラム、ブンドル団の制服とあらゆるところで彼のジンジャーへのとても大きな感情が垣間見えます。
そんなジンジャーに認めてほしかった。
そんなジンジャーの一番になりたかった。
大好きな人の一番になりたい。誰もが思うことではないでしょうか。
ですが現実としては、ジンジャーは自身の最高傑作ともいえるスペシャルデリシャストーンを弟弟子のシナモンに継がせることを選びました。ここから彼の気持ちが負の方向に転じていくわけですよね。
非常に人間らしいラスボスだったと思います。
人間らしすぎて、物語的にボスとしての格が若干落ちるのだけお話としては難点か。
ゆいとフェンネル
そんなフェンネルを救えるのって、多分ジンジャーの言葉しかないんですよ。それもフェンネルに向けられたジンジャーの言葉です。途中でまねき猫からジンジャーが出てきましたが、あのジンジャーは次世代のものに言葉をかけていてフェンネル個人には言葉を向けていないんですよね。
だけどもうジンジャーはいない。
彼の言葉をフェンネルが受け取ることはできない。
そうフェンネルは考えていたわけですが、そこに切り込んだのがゆいでした。
以前、私はこんなつぶやきをしました。
フェンネル、アナザーゆいって立ち位置なのかもしれませんね おばあちゃんを喪ったゆい、ジンジャーを喪ったフェンネルの対比 #precure
— べぎ (@begirama_5ju) December 25, 2022
フェンネル=ゴーダッツと判明したときの呟きです。
この時点でフェンネルの行動はジンジャーへの巨大感情由来のシナモンへの嫉妬だなあと読み取ることができる材料はあったと思います。
その大きさはゆいにとってのよねさんと同じぐらいだったと思います。
ゆいもおばあちゃんの言葉をよく使っていた。おばあちゃんから教わったことでゆいができているといっても過言ではない。それほどまでに偉大な存在でしたが、亡くなってもう会えなくなったわけです。
ゆいとフェンネルはよく似ています。
共に、大切な人を喪ったんです。
違うのは、そこからの行動。
もうジンジャーからの言葉をもらえない。ジンジャーの気持ちが受け取れない。そう考えてドンドン堕ちていったフェンネルに対して、ゆいは今まで交わした言葉からおばあちゃんの想いを何度も受け取っていたんです。
フェンネルを救えるのはジンジャーの言葉しかない。
そして…
ジンジャーの言葉をフェンネルがちゃんと受け取れるように、
フェンネルの心を変えることができるのは、
彼と似た立場の、ゆいの言葉しかなかったんじゃないかなって思います。
フェンネル、ジンジャーは言ってましたよ。
いずれは俺を超えていくニャーって。
そして今話で現れたジンジャーの言葉から推察するに、それはきっと『自分よりももっと多くの笑顔を守れる人になってほしい』ってことだったんだと思います。
あとまあ、フェンネルの『貴様の思い込みだ』に対してゆいが『そうかもしれない』って答えてるのがめっちゃ好きなんですよね。
実際問題、亡くなった人の言葉の真意なんて想像するしかないんです。
そこはちゃんと認めた上で、それでもゆいは交わした言葉つまり実際に聞いた言葉に宿った想いを受け取れるって返したのが良かったです。
おわりに
この最終章、自分自身の言葉を見つけたゆいが自身と似た立場であるラスボスのフェンネルに切り込むという美しい構成のエピソードだったと思います。
ただ、まだ暴走したフェンネルを浄化しただけ。
フェンネルは最終回でもうちょっと掘り下げられるかなって思います。
牢屋にいるだろうけど。
この後の最終回が楽しみです。
それではまた。