デリシャスパーティプリキュア42話感想
男たちの武闘
我々は一体何を見せられているんだ?
プリキュアを見ていたはずなのに、なぜか戦っているのは大人の男性たち。一体どういう展開なんでしょうね?
と、まあネタにはするものの描写するというのが非常に素晴らしいですね。これによってシナモンとローズマリーがちゃんとしているというのが伝わります。兄弟子だからこそ、自分たちが片をつけなければいけない。
なによりもバトルが新鮮。単純に長身同士のバトルというのは歴代でも中々ない描写ですしね。
…それにしても、シナモンと同程度の強さしかないゴーダッツことフェンネル。まあスペシャルデリシャストーンをシナモンが受け継ぐことになってたんですからなんならシナモンのほうが強くてもおかしくないんですが、それでいいんかラスボス。
設定に忠実な描写をした弊害か。とはいえスペシャルデリシャストーン2個持ちの出力の差でゴリ押して来たのは流石といっておきましょう。
弟子と息子の想い
フェンネルが語る言葉は大体想像してた通りでした。スペシャルデリシャストーンを受け継げなかったことからの嫉妬。最後のほう、ジンジャーのことを出したプレシャスに激昂したことからもやはり根底にあるのは師匠ジンジャーへの強い想いでしょうか。このあたりはまだ掘り下げられそうです。
一方の拓海。今回の彼はゆいが見たこともない表情をしていた、その言葉で彼の怒りがどれほどのものだったか伝わります。
プリキュアお得意、光と影の表現ですね。
普段は両親のラブラブカップルっぷりにやめてくれと言ったりしていますが、やはり父親のことは尊敬しているんですよね。シナモンはそれに値する人物だと思います。強くても決して驕ることなく、ただ誇り高き使命に忠実に生きる。素晴らしい人物。
そんな父が謀略によって守りたい故郷を追放されたとあったら、そりゃあ怒りますよって話なんです。拓海の気持ち、すごくわかってしまいます。
ジンジャーとフェンネル。
シナモンと拓海。
見方によっては2組の親子ともいえますね。父親と息子。
最後の試練
今回のお話はゆいの性質の短所の面が出たかなと思います。
ゆいという人物はまっすぐで、良くないことを良くないと言える子です。16話が顕著でしょうか。ただ裏を返せばいい子すぎるし純粋すぎるんですね。
悪意や汚いことも世の中にはある。
綺麗事だけでは解決しない事柄もある。
そんなことを知らない、またそんな手段を取らない彼女は好ましく見える一方で若くて青いなと思える一面もあるわけです。
フェンネルは語る言葉でも自身の行動でも目を背けたい現実を突きつけてきました。
誰かにとっての幸せは誰かにとっての不幸せ。
笑うものの影には常に泣くものがいる。
ジンジャーの栄光の影で嫉妬を抱えていたフェンネルの人生が乗ったとても重い言葉です。
そんな彼をもゆいは信じましたが、フェンネルは凶刃をおさめません。
そして彼女が今までどおりに正しいと思うことを貫いた結果、拓海は傷つきコメコメは消耗しました。
大切な人たちが傷つくという現実が彼女が貫いたことを否定しようとしてきているわけです。
思い返せば、他のプリキュア三人は何かに向き合い答えを出してきました。
ここねは自身の想いに向き合い、そのグチャグチャな想いを素直に出せました。
らんは自分のやりたいことに向き合い、好きを貫き通すことを決めました。
あまねは自身の感情と向き合い、最後には自分の正義を貫きました。
最後はゆいの番です。
綺麗事だけではどうにもならない現実に対して、ゆいはどんな答えを出すのか?
これが彼女にとっての最後の試練であり、同時にデリシャスパーティープリキュアという作品の質に直結する点でもあると思います。
彼女の答えが楽しみです。
その答えを出したとき、ゆいは少し大人になっていると思います。
…それはそれとして。
次回は現実に打ちのめされた彼女が1話かけて悩むと思うのですが。
いやー、心がめった打ちにされて落ち込んでるゆいを見れるなんて眼福ですねえ!!!!
おわりに
今回はフェンネルをなんとかすることができなかったゆいですが、それもそのはずです。よくよく考えると今回の話ってフェンネルになにかしたわけではありません。すごく酷い言い方をすればただ何も考えずに希望を信じ、雑にジンジャーの名前を出しただけなんですよね。
ゆいはまだフェンネルに向き合ってはいません。
彼のことを理解することすらまだしていない。
そう、まだなにもしてないんです。
だからきっとまだなんとかなると思います。