べぎログ-べぎの感想・考察-

べぎログ-べぎの感想・考察-

主にプリキュアシリーズの感想と考察

トロピカルージュプリキュア46話感想

見たかったものは全部見れました。

 

泣くかと思いましたが、トロプリらしい楽しい感じもあって

逆に感情の整理がつかなくなりました。

 

一言でいうならば、最高にトロピかったお話でした。

 

トロピカルージュプリキュア、最後の感想です。

 

 

※最終話なので書きたいこと全部書いた結果、文字数がとんでもないことになってます。本当にすいません。

 

 

 

あとまわしにできない決断

 

記憶を失うリスクを負っても帰って女王になるか。

このまま皆と一緒に地上で暮らすか。

 

選ばないのであれば自動的に後者の選択になります。

グランオーシャンは旅立ってしまいますから。

 

つまり状況的には魔女と同じなんですよね。

決断をあとまわしにすると、ローラとしての結論を出すことができなくなってしまうんです。

 

決断できなかった果ての魔女の姿を見たローラは同じことはしないでしょう。

あすかの『急すぎるだろ』という憤りもさんごの『女王になるのはまだ先なら今決めなくても』という言葉も勿論わかります。状況はとてもひどい、理不尽と言ってもいい。せめて高校生のローラ見せて。それでも時間は待ってはくれません。

 

グランオーシャンに戻る一番のネックは記憶を失うことなんですよね。記憶さえ残っていれば、また会いに来ることもできるわけですから。そして人魚と関わった者の記憶が消えない保証もないわけで。

 

だからそれを『絶対忘れない』と言ってくれたまなつがとても良かったですね。自分たちが覚えてるから思い出させる。選択に伴い失うものをケアすることで、ただ純粋に『ローラの今一番大事だって思うこと』を選んでほしいという想い。選ぶ際に余計なことを考えてほしくないってことですよね。

 

そしてまなつの想いを受けたローラの脳裏に浮かんだのは…

 

f:id:begilog:20220130104907p:plain

出典 トロピカルージュプリキュア46話

 

憧れた人の姿。これたぶん映画でしか示唆されてない。

そして劇のラストの変更を申し出る。

 

ローラはもう決めたんですね。

自分のかねてからの夢を優先してくれて私としては良かった。

 

わたしたちの物語

 

町での人気とは違う自分のおすすめを提示。

スランプの作家、そして入れ替わり。

仲間なんて信じない騎士。

 

わたしたちの物語、その表現に偽りなし。トロピカる物語の展開はこれまでの5人のエピソードを盛り込んだものになっています。総集編のようだった41話も決してただの総集編では終わらず、この劇に皆とのエピソードを入れ込むためのお話に昇華されました。流石といわざるをえません。

 

そしてわたしたちの物語であるトロピカる物語のラストを変えたということは、それはそのまま5人の未来を示していることになります。つまりローラの結論は改めて5人に伝えるまでもなく、劇のラストの変更を申し出た時点で伝わってるんです。

 

女王になるために自分の国に帰っていきましたというラスト。

 

それがローラ自身の答えでもあるわけです。

それをわかっているから皆も変更を受け入れたんですよね。

ここであれこれ言わないのがお話としてとても好きです。

 

記憶を失うとか余計なもの全て取っ払った状態で導き出されたローラの今一番やりたいこと。その結論に他者が口をはさむ余地などありませんから。

 

まなつの想い

 

ラストシーンの急な変更に伴いセリフも変わったので覚えているか不安ですが、わたしたちの物語であるこの劇なら役ではなく自分の言葉で話しても成立します。

 

…これがね、このみのりの言葉がね、にくいんですよね。後々に効いてくるやつ。

 

劇のラスト、ロザリアの言葉はローラの言葉でもあったと思います。

皆と仲良くなったこと、毎日の楽しさ、ずっと一緒に居たいって思ったこと。そしてそれらの想いを全部だきしめて、女王になるため帰ること。

 

このまま大団円、文句なしの素晴らしいラストシーンです。

 

でもね。

 

f:id:begilog:20220130112209p:plain

f:id:begilog:20220130112220p:plain

出典 トロピカルージュプリキュア46話

 

最後にまなつがやってくれました!!!!

 

はい、まなロラ推し私大歓喜のシーンです!!!!

そして同時に、なんとなく来ることを期待していた瞬間でもありました。

 

いやー、だって今話のまなつはいい子すぎるんですよ。

ローラが一番大事だと思うことをやってほしい。ローラがそう決めたなら、と帰る結論を受け入れる。本当にローラのことを想っているからこそ、自分の気持ちよりもローラの大事を優先して欲しい。

 

物語としてストレスがなく、そつがない。

 

でもね、まなつがいい子すぎるんです。物分りが良すぎる、聡明すぎる。

だからこそ、その反動で感情が爆発するシーンをどこか期待していました。

勉強はしなくていいけどには笑っちゃいましたけど。

 

このバランスって非常に難しいんですよね。描写を間違えると、まなつは自分の想いを優先するワガママな子になっちゃう。それだときっと見ていてストレスになったと思います。

 

でもまなつは自分の想いを一旦置いておいて、ローラの決断を受け入れ、その上で応援しようとしてた。けどやっぱり耐えられなかった。

 

そういう過程を踏んだ上での感情の爆発だからこそ、とても心を震わせられたんだと思います。

 

トロピカる物語

 

そしてそこからなかよしの歌を皆で歌うというラスト。

あーダメ、それは本当に涙腺に効きます。歌声がキレイすぎる、伴奏すらなくただ響き渡る声。雰囲気作りとして最高でした。

 

…だったのに。

 

f:id:begilog:20220130115128p:plain

出典 トロピカルージュプリキュア46話

 

看板倒して1hit!

ローラごめん、とんでもないタイミングで撮っちゃって。

 

f:id:begilog:20220130115137p:plain

f:id:begilog:20220130115144p:plain

出典 トロピカルージュプリキュア46話

 

看板をおこそうとして持ち上げきれず2combo!!

 

ぶち切れるローラ、大爆笑の会場。

いやさっきまでの感動の雰囲気は!?

 

でもきっと、これがトロピカルージュプリキュアなんですよね。悲しい雰囲気のまま、しっとりした雰囲気のままラストに行かない。皆がトロピカれるお話のためにこうなる。

 

ローラのダイナミック正体明かし、謎のブレイクダンス

 

最後はとっても楽しい雰囲気で終わった劇でした。

ローラの『はぁっ!?』がめちゃくちゃ好きなので聞けて嬉しかったです。

 

ローラの想い

 

感情のジェットコースター、さっきまでトロピカる終わりかと思ったらお別れシーンはやっぱり来るものがあります。

 

人魚の掟と記憶を吸い取る装置、その存在理由はほぼ想像してたとおりでした。

 

 

大昔に人間と関わった人魚が寂しさから記憶を消す道具を作った。

掟の意味も装置の意味もとても納得の行くものでした。

 

人魚の一生は長い。まなつたちが居なくなったとしてもローラはその後もずっと生き続ける。伝説のプリキュアが魂だけとなった後も魔女はずっと生きていたように。

 

大切な人を失った後、独りぼっちでずっと生き続けることの寂しさ。なんとなく想像はできますが、想像以上の寂しさなんだと思います。きっとこれは大切な人を失った人にしかわからない。いや、大切な人を失った人でも長さが違いすぎて人魚のそれはわからないかもしれません。

 

あすかとの会話を終えたローラの心中にはまず別れの悲しみがあり、それ故の涙だったと思うのですが。まなつがリップを塗ってあげて(はい、まなロラ尊い最強)勇気を出して立ち向かわなければならないほどに、不安で仕方ないのがこの問題だと思うんですよね。涙にはその不安もあったんじゃないかなって思います。この先どうなるか、そのときを迎えてみないとわからないからです。

 

これは人間と人魚の物語。

やはりこの問題にも向き合わなければならない。

とはいえ対象年齢を考えたら内容が結構ハードだと思うので、まず扱ってくれたことに感謝です。物語としての完成度を高めるために、難しい問題に切り込んでくれました。

 

さて。

避けられない問題に対して、忘れるという手段をとったのが過去の人魚たち。

じゃあこの5人の答えは?と思っていたのですが、あすかとさんごの答えが良かったですね。

 

忘れてしまうことのほうが寂しい。

忘れちゃったら寂しいこともわからない。

 

寂しいって思う感情は、それだけ大切に思っていることの裏返しなんですよね。寂しいを失うということは、大切に思っていたことそのものも忘れてしまうということ。

 

プラスマイナスゼロを取るか、プラスとマイナス両方を取るか。

プリキュアシリーズの流れを考えたら、この答えはもう決まっていたのかもしれません。

 

さて、長いこと話してきましたが。

私としては、やっぱりローラの涙ながらの『私のこと、忘れない?』が最高でした。

 

何度か話してたことなんですが、ローラって強がりなんですよ。弱みを見せないし『○○したい』とも言わない。女王たるものこうあれという像が彼女の中にあるせいなのか、素直な思いはあれどそれをストレートに表に出すことはほぼなかったんです。

 

それこそ、プリキュアの皆に対して出すことはありませんでした。

 

それがやっと最期、別れるときになって全部さらけ出せたんですよね。

 

私のこと、忘れない?

 

涙ながらに発した震える言霊は、人魚が寂しさから記憶を消したという過去を踏まえて『もしかしたらまなつたちも寂しさから逃れたくて自分のことを忘れてしまうかも?』という不安から発したものだと思います。

 

ローラがみんなの前で素直に弱さを見せた。

 

最後の最後に見たかったシーンが見れました。

その姿がローラのみんなへの想いの大きさの証だと思います。

 

…そうそう、プリキュアならではといえばまなつとローラのシーンもならではですね。

 

 

f:id:begilog:20220130131123p:plain

出典 トロピカルージュプリキュア46話

 

光と影、ローラを勇気づけるまなつと不安を抱えているローラの対比。

 

ローラが夕日をバックにしている点から光源配置も完璧。

計算しつくされた表現です。

 

トロピカルージュプリキュアというお話

 

不安を口にしたローラに対してみんなかっこよく決意してくれました。

特にまなつの『一生覚えてる』の言い方がとても力強くて好きでした。

 

皆の覚悟を聞いて、ローラも『忘れない』決意を固められたんじゃないかなって思います。

 

…それだけかっこよく決めたのに。

 

まなつたちの記憶も消され、ローラが関わった痕跡も全て消えました。

いや、装置がいくらなんでも強すぎませんか????

グランオーシャンの外にまで影響してくるのはヤバすぎますよ。

 

ということで、決意むなしくみんな全部忘れちゃったんですが。

 

装置が影響するのはあくまで人間と人魚のみ。

そう読んで魔女一味の方々に予めバックアップを仕込んでおいたローラが有能すぎました。想いだけではどうにもならないことがあります。想いの強さだけに頼らずちゃんと手を打っていたのがよい。

 

あと個人的にはローラに情報を伝えたのがエルダらしきところが良かったです。まなつと一番繋がりが深い魔女一味は彼女ですからね。

 

そしてリップを見て思い出される記憶。

アクアポッドのシャボンピクチャーがあふれるシーン。

 

どうして装置が負けたのか?ここに関しては想像の余地を出ないですが。

アクアポッドに貯め込んだみんなとの記録の容量がでかすぎて、リップで決壊しかかった記憶の蓋を装置が抑えきれなくなったんじゃないかなって考えたいところです。これまでのみんなとの積み重ねが装置及び掟に打ち勝ったという解釈でいきたい!!願望です。

 

まあさておき、本来記憶が戻るシーンってもっとドラマチックだと思うんですが。

BGMの感じといい、なんか楽しげなのがトロプリらしいなって思いました。

 

そしてED後の引き継ぎパートでは『犬のフンふんじゃった』と、ギャグ全力。

どんなラストやねん。

 

最後は作品らしく、楽しく決めてくれたなあって思います。

 

…見てるこっちは感情の振れ幅が大きすぎてどういうテンションで見たらいいかわかんんなくなりましたけどね!!!!

 

おわりに

 

ということで1年間追い続けたトロピカルージュプリキュアも終わり、感想記事もこれにて最後になります。

 

既にめっちゃ長くなってるので早く終わりたいのですが、最後に総括。

 

凄まじい完成度の高さだったと思います。

基本明るく楽しいお話でありながら、寿命の差など種族の違いにより生まれる難しい問題にもしっかりと切り込んでいきました。

 

中盤から撒かれた伝説のプリキュアとあとまわしの魔女の関係性、それとまなつとローラとの対比。バトラーの真意、人魚の掟やグランオーシャンの記憶を吸い取る装置、みのりやあすかの過去、まなつが名前を聞く理由など数々の仕込みもしっかりと回収して締めくくってくれました。ていうか女王様がプリキュアになれない理由以外は全部回収してる…?

 

45話や46話という終盤においても、決めるところは決める一方でトロピカってる雰囲気()を出しつつ、それすらも作品の味として受け止めさせてくるこれまでの積み重ね。本当に素晴らしかった。

 

チョンギーレ、ヌメリー、エルダの三名も敵ながらどこか憎めないゆるい感じと絆の強さがあって微笑ましかったです。ここもトロプリらしかったですね。

 

くるるん。

最後までなにかあるわけでもなくずっとくるるんでした。

本当にただのマスコットとして存在したのが逆にすごい。

 

プリキュアたち。

 

涼村さんご。

最初は自分の好きを出せなかった彼女が、自分の好きに正直になり、自分の好きを貫く強さを持ったこと。強くなったなあと思います。39話はトロプリの中でもトップクラスに好きです。

 

一之瀬みのり。

独特の雰囲気を持ち、作品のトロピカる度に大きく貢献した唯一無二の存在。何しても面白いのずるいですよ。また物語が書けるようになってよかったです。

 

滝沢あすか。

頼りになる先輩。筋が通らないことが許せない彼女は時々あおく見えることもありましたが、ここぞというときに言い切ってくれる頼もしさがありました。高校で百合子と末永くイチャイチャ()してください。

 

そして。

人間と人魚の出会い、

ひいては人間と海の生物の出会いの物語。

 

この物語の中心であった二人。

夏海まなつローラ・アポロドーロス・ヒュギーヌス・ラメール

 

いつも前向きで、とにかく現状にたいして行動を起こせる強さをもったまなつ。彼女が最後まで大きく折れることなく物語を引っ張ってくれたのが、この作品の雰囲気を象徴していると思います。

 

人間との交流で大切なものができ、作中随一の成長を見せたローラ。どこか憎めない可愛らしさがあったり、激情が乗った声に日高里菜さんの演技力を感じさせてくれました。

 

そんな二人と、二人の関係性がとても尊く愛おしく、この1年間トロピカルージュプリキュアを楽しめた何よりの要因でした。トロピカルージュプリキュアは終わっちゃいましたが、きっとこれからも私はまなつとローラのグッズが出るたび集めると思います。

 

 

f:id:begilog:20220130140546p:plain

出典 トロピカルージュプリキュア46話

 

ありがとう、トロピカルージュプリキュア

制作及び放映に関わった全ての方々に感謝です。