べぎログ-べぎの感想・考察-

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主にプリキュアシリーズの感想と考察

トロピカルージュプリキュア44話感想

魔女の一番大事なこと

 

素晴らしいサブタイトルだと思います。

 

ずっと結末をあとまわしにされていた

伝説のプリキュアと魔女の物語。

 

その感想です。

 

 

破壊の魔女と人間

 

破壊の魔女の目的は世界を滅ぼすこと。

生まれながらにしてそれが欲望としてあった生物。なぜそんなことをするのか?という問いについては『生まれながらにそうだった』としか答えるしかないんですよね。私達には理解できなかったとしても、そう生まれてしまったのだからしょうがない。

 

個人的にはこれはスタートゥインクルプリキュアでテーマとして掲げられていた『多様性』に通じる話だなあと思いました。理解できないことをそのまま受け入れるのも大事だなっていう。

 

同時にビョーゲンズにも通じる話だよなあと思ったりします。

なぜ地球を蝕むんですか?→そういう種族なんです、って話。

 

 

話が脱線したので戻しますと。

人間たちはそんな破壊の魔女に立ち向かっていったんですね。大砲とかバンバカ打ってるよ、容赦がない。そして傷ついた魔女と出会ったのがアウネーテ、後に伝説のプリキュアとなる少女でした。アウネーテは魔女が破壊の魔女だなんて知らないですから、ただ傷ついた生物を助けようと思っただけなんですよね。プリキュアに相応しい優しい心の持ち主と言えます。

 

そしてこの出会いが何百年にも渡る因縁になるわけです。

 

破壊の魔女と伝説のプリキュア

 

二人は奇しくも戦場で再び相まみえます。

アウネーテとしては本音は戦いたくない、でも魔女が世界を滅ぼそうとするならば世界を守るために戦うしかない。実に割り切った考えの理想的なヒーローと言えるでしょう。

 

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出典 トロピカルージュプリキュア44話

 

でも戦いの最中、彼女は涙を流します。せっかく出会った友達となぜ争わなければいけないのか?プリキュアだって一人の少女です。戦うことを決めたとしても、抗えない感情があります。

 

一方で…

魔女は『決着は明日』と言って帰ります。そしてずっと決着をあとまわしにし続けてきたようです。何をあとまわしにしていたのか、思い出せないぐらい永い時が経つほどずっと。

 

彼女もまた本心では戦いたくなかったんだと思います。

 

あとまわしと今

 

トロピカルージュプリキュアの情報が公開された時に思ったのは『あとまわし』に対してまなつの『今一番大事なことをやる』というのは明確に対応してるんですね。なので破壊の魔女があとまわしにしていた大事なことを『今』やるというのは、プリキュアとあとまわしの魔女の決着をつける上で必要なことだったと思います。

 

なので物語としても凄く綺麗なんですよね。

 

そしてまなつの捉え方がとても素敵。

魔女があとまわしにしていたのは『仲良しになること』

魔女があとまわしにしていたのは『勇気がなかったから』

 

破壊の魔女は破壊が自身の目的でした。それをやめて誰かと仲良しになるということは、ある意味で自身の根幹の否定なわけです。恐らく彼女が勇気を出せなかったのはそういう点もあるのでしょう。変わることを恐れる、変わるための一歩を踏み出せない。我々にも刺さるお話だと思います。

 

魔女が本当にしたかったこと、アウネーテと友だちになること。

それをさせたのが主人公の夏海まなつ。

 

今一番大事なことをやろうと決めた主人公が、

あとまわしにし続けていた敵ボスを救う。

 

こんなに美しい物語、ありますか?

 

やっぱりプリキュアって凄いよなあと思うわけです。

物語が伝えたいメッセージ的なものが美しく物語を成してるんですから。

 

そしてまなつが助けたのは魔女だけじゃなくて、

魂だけ残っていたアウネーテもなんでしょうね。

 

未練がありこの世に留まっていた彼女の魂もまた救ったんです。

 

 

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出典 トロピカルージュプリキュア44話

 

やっと会えた。

アウネーテからすれば魔女が帰って決着をあとまわしにされてから数百年ずっと会えてなかったわけですから、言葉の重みが違いますね。

 

この二人が友達になれてよかった。

この二人が笑顔になってよかった。魔女様も満足そうに逝ったし。

めでたしめでたし。

 

 

バトラー

 

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出典 トロピカルージュプリキュア44話

 

…で終わればよかったんですけど、そうはいかないんですよね。

最後にこの厄介オタク(言い方)をなんとかしなければいけません。

 

中盤から『コイツ黒幕やろ』と散々言われた彼ですが、実際のところ凄まじい忠臣だったと言えます。彼女が心酔していたのは『世界の破壊』という破壊の魔女の生き方そのもの。愚者の棺を解放して世界を滅ぼそうとしたのも、魔女がかつてやろうとしていたことを実行しようとしていたんですよね。

 

なのでまあお話の役割的には黒幕といって差し支えないのかもしれませんが、彼の尽くし具合は特筆すべき点だよなあと思います。

 

…まあ想いがデカすぎるがゆえ、ここまで厄介な事になってるとも言えるのですが。

 

さて、魔女を救ったのであればバトラーはどうなるのか?という点は気になるところ。彼の大事なことって彼由来の思いというよりは魔女に心酔した結果なんですよね。勿論『魔女の大事なことが彼の大事なこと』というのもそれはそれで彼の忠臣さを表す美しさがあるのですが、一方でそれは真の意味でバトラーの大事なことなのか?という点は問わねばなりません。

 

なのでまあ、そのあたりがラストバトルでの焦点になるのではないかなあと思います。

 

おわりに

 

人間と魔女の物語は終わりました。

残すは人間と人魚の物語です。

 

そしてそれはこの一年間推し続けてきたまなつとローラの結末になるわけです。

 

残り2話。

結末を迎えるのをあとまわしにせず、最後まで見届けたいと思います。