ノケモノたちの夜 第74夜感想
アレコレ大変でしたがようやく書けました。
ではどうぞ。
想いの意味
大切だったはずなのに、大切だったということしか覚えていない。マルバスはそう語っていました。どれだけ大切なものでも、時が経てばその想いは記憶が薄れるとともに色褪せる。ましてや悪魔は永遠の命の持ち主。これまで忘れてきたものも数知れないでしょう。
シトリのいうこともよくわかります。実際にかつての主への想いが色褪せている自身や他の十三災が何よりの証拠。いずれ薄れゆく想いなら、所詮一時の想いなら無駄ではないか。現代の人間で例えるならソシャゲへの課金みたいなものですよね。いずれサービスは終了するのにお金をかけるのは無駄じゃないかという。
そんな思い悩むウマのトレーナーさんを励ますかのように。
マルバスは無駄なことなど一つもないと言います。
想いはたとえいっときのものでも、その想いを見た他者が別の想いを発生させる。そうやって繋がっていくことに意味があるのではと。
もうなんかここまで来ると正直『せやなあ…』ぐらいしか言うことがないんですよね。感想としてもリアクションとしてもうんうん唸るしかない。だって実際に我々読者が契約者たちの絆などを見て色々なキモチを持ったじゃないですか。マルバスの言うことは私のキモチが証明してくれてるんですよね。
とまあ作中の論展開も台詞回しも素晴らしいのですが。
それをハリエットとモリーから学んだというのが最高でした。
序盤のエピソードをここで効かせてくる構成力がもう凄かったですね。感服。
無駄なエピソードなんて一つもない。
器
三ツ目は自身の器たる人間を育てるべく、いろんな人間に力を与えているようです。ソル団長の不死性及び限界値がない肉体は格好の器ですよね。
そしてウィステリアも器の候補であったことが判明。その魔力がマルバスに移ったのはむしろウィステリアとしてはラッキーなのでは。三ツ目に狙われなくて済みます。
ただまあ…ウィステリアの力は三ツ目が与えていたということがわかった以上、気になる点はやはり『いつ契約したのか?』ということですよね。少なくともウィステリアの意思がある状況下ではマルバス以外の悪魔と契約したとは考えづらいです。
…となるとやっぱりスノウが『なんでもしますからきょうだいをください』といっていたのをこれ幸いと契約に結びつけ自身の器候補の赤子を宿らせた感じですかね。
もうそろそろ怖くなってきましたよ、この物語。構成力の鬼すぎて。
おわりに
ということでシトリとも決着。長かったロンドン対魔戦線編もようやく終わりを迎えるといったところでしょうか。謎が明かされたと思ったら謎が増えた編でしたね。
結局ダイアナとナベリウスの限定解臨が見れてないままなんですが、まあそれは次へ持ち越しということで。三ツ目を探す旅路はまだまだ続くのですから。
今後どうなるかも注目ですね。